名古屋駅の日
人が多い。
多すぎる。
どこ見ても人だし、止まるんじゃねぇぞ…ばりに人が止まらない。
そんな名古屋駅で定期をライさんは買おうとしていた。
駅の精算所で、ここなら買えるだろうと一声、「定期売り場」との返答。
そうか、駅がでけえから専用の売り場があるのかと売り場を探して分からず改札で聞いてやっとこたどり着いた定期売り場。
人の雰囲気というのはライさんでもなんとなくはわかる。
この人疲れているのか、とかあんまり仕事したくねえんだな、とか。
なんだかやっかい払いされるようにふたつの場所で扱われたので、大都会って自分でも面倒な事案を解決するのには向いてないんだなと悲しくなってた。
でも定期売り場のおっちゃんは私のゆっくりした口調をちゃんと聞いてくれて、少し考えたような顔をしてから話し始めた。
「この定期を買いたいなら、乗り換えの地下鉄は別々で買った方がお得だよ。」
おっちゃんめっちゃくちゃ優しくて、実際にどんだけ乗ったらお得かって計算までしてくれた。ありがとうおっちゃん。チョコあげたい。
「先に地下鉄でほんとに安くなるかわかんないから買っておいで〜」
て言われてクソ重荷物を引っさげながら地下鉄改札にやってきたライさん。やっぱり定期売り場が分からなかったので、近くにいた駅員ぽいおじさんに聞いてみた。
「定期売り場どこです?」
「あそこ!あそこ!(指差し)」
そこにあったのはケーキ売り場だった。
違うよおじさん。私が買いたいのは糖分じゃなくて駅における人権なんだよ。
「あの………私………こういう事情で………ゼエ………すみませ…………ハア…」
「はっはい………(引き気味)」
地下鉄の定期売り場になんとか辿り着いて、おねえさんに引き気味に対応してもらってなんとか地下鉄の定期を買った。
その後、このクソ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!とか思いながら荷物持って再び元の定期売り場へ。
無事にもうひとつの定期も買えた。
さっきの優しいおっちゃんはもういなくて、でも対応してくれたひとは私の事情を分かってたみたいだ。
すげえよおっちゃん。アフターケアまで完璧かよ。涙でそう。
腕がハチャメチャに疲れた。どんだけ重かったんだ荷物……
でも優しい対応してくれたのでチャラである。
そういう事があると嬉しいから、ライさんも仕事し始めたり、困ってる人とかに声かけられたら、できるだけそういう対応が出来るといいし、それこそ仕事をする姿勢だと思った。
人の役に立つって嬉しい事だもんな。
明日も楽しいことがあると嬉しい。
何にもなくても多分自分で嬉しいことを作って行ければいいと思う。
今日のデッサン