あいだの日
長かった受験がやっと終わってしまった。
あっという間だったと言うのは間違っていて、過ぎた日々を思い出せば長かった。
無限に続く時間のようにも思えた。
いつだってそんなもんだ。
志望校には無事合格したのだが、嬉しいと言われて、頷きは返せない。
どうかと言えば、戸惑いが強い。
私よりも周囲の人が喜んでいる。
本当に受かったのか、ココ最近毎日のように確かめている。
それくらい信じられないことなのだ。
とんでもない倍率の中から、自分が選ばれたことが。
とても遠い存在だと思っていた所に行けることが。
毎日予備校に通って、何かを作って、何かを学んで。
試験は、自分のできることを精いっぱいやって。
必死に追いかけた。
受かりたいと思った。
でも、受かった瞬間、その必死さはなくなってしまった。
自分は何のために頑張っていたのか。
どうしてそんなに必死だったのか。
自分が空っぽになっていくのが分かった。
同級生にも、受けた人はいるわけで、もちろん、受からなかった人もいるわけで。
気まずかった。
自分がどんな気持ちでいればいいのか分からなかった。
空っぽなのに喜ばないといけない気持ちと、それを縛り付ける気持ちが入り交じっていた。
素直に喜ぶことが出来なかった。
ライさんは、皆に笑っていてほしいし、悲しい気持ちにはさせたくないし、自分自身も楽しい気持ちでいたい。
だから、自分のせいで、自分も他人も複雑な気持ちになってしまうのは耐えられなかった。
懇意になっていた先生に相談した。
「君は、""受かった""のではなく、""落ちなかった""んだ。そこに縁があった。それだけの違いなんだよ。」
「戸惑いや不安はあるかもしれないけれど、物怖じしないで頑張ってきなさいな。」
なんてことを言われた。
終わった気持ちでいたけれど、まだまだ終わってないようだった。
むしろ始まりなんだろうな。
また、頑張りたいな。
だんだんそう思うライさんだった。